理想と現実

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「……自分でもわかってるんじゃん」 「でもね、子供の屁理屈みたいだけど、私は論破できないの。『常識的に考えて』っていうのもあいまいなことだと思うしね。常識って人によって違うじゃない?」 「……お姉ちゃんが何が言いたいのか分からない」 「子供の屁理屈でも聞いてあげる人が必要ってことよ」 「……お姉ちゃんの彼氏、大学生だよね?」 そう聞いた私の眉間には皺が寄っていたと思う。 駄々をこねる子供にお菓子を買ってあげる母親とはわけが違うのだ。 子供のような彼氏も意味分からないけど、それに相手しているお姉ちゃんも意味が分からない。 「ちょっと、人との関わり方が分からない人なの。良い人なのよ?」 お姉ちゃんはそう言って笑った。
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