大クリスマス会の夜

っと、大事な物を忘れていた…

音楽、音楽っと。

実家でクリスマスイブを過ごす時も必ずと言っていいほど音楽が流れていた。

それは”あわてんぼうのサンタクロース”や”きよしこの夜”、”赤鼻のトナカイ”なんかの定番ソングがほとんどだった。

だから、今宵も音楽を流そうと三つ隣の駅の○ックオフでCDを借りてきたのだった。

俺は多少埃に塗れていたPS2を引っ張りだすとCDを読み込ませた。

甲高い悲鳴を挙げるようなギターと男たちの呻くような声。

それが一分ほど続くと、次のトラックに移行し重厚なギターサウンドに合わせてヴォーカルが歌い始める。

ラップ調のそれは英語で何言ってるか殆ど理解できないが、まあBGMとしては上出来だ。
歌詞は分からない方が好ましい。

時折TVでは放送できない用語が聞こえてくるがこのバンドならさもありなんだ。

俺はケースを手に取り、改めてジャケットを見返してみる。

雄々しい角を持った黒山羊の写真。

明らかにそれは何かを連想させる。

黒山羊の横にバンド名と曲名が小さく記載されている。
知らない人がみたらどちらがどちらか困惑しそうだ。

Slipknot『IOWA』

これが今宵を彩るミュージック。

うん、想像以上だ。

隣室に考慮してボリュームは抑えてある。まあ音源がTVなのでたかがしれているが。

と、ここで俺は重大な事実に気付いてしまったのだ…