大クリスマス会の夜

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それに気付いたのは、ゲームを起動させようとパッケージからディスクを取り出した瞬間だった。 元々音楽を流しながらゲームをしつつ飲み食いをする予定だった。 だが、既にPS2にはSlipknotが入っている。 音楽コンポか何かを使えばいいという意見が出てきそうだが、あいにくラジカセ等の類は一切持っておらず、ウォークマンだと緊急の連絡が入った際に出れない危険性がある。 俺は泣く泣くディスク、グランドセフトオート2を戻した。 折角これで街中を爆走しながらチキンとケーキを堪能しようと思ってたのに… ふと気付くと、俺は準備に夢中でまだ何も口にしていなかった。 取り敢えずボックスから適当にチキンを一つ出すと、おもむろにそれに噛り付いた。 やはりというか、なんというか… モ○チキンは既に冷めていた。 キッチンの方をチラと見やる。 そこには稼働率20%の電子レンジがあったが、何だか飛び散った油を拭いたりするのが中々面倒そうなので、仕方なしにそのまま口に運び続けた。 一本平らげた時点でかなりの満足感を覚えていたが、まだボックス内には4つものフライングマン(モ○チキン)が控えている。 全員墓場送りにするには時間がかかりそうだ。 更には、テーブルの真ん中に雄大と聳え立つモンブラン、いやチーズタルト。 山は一欠片も手を加えられていない。 本当はチキンを平らげてから登頂する予定だったが、これは同時に進行させていった方が良さそうだ。 俺は大きめのフォークを手に取るとおもむろにチーズタルトに突き刺した。 チーズタルトとは言っても、殆どケーキみたいなものだ。 ゴリッと削った部分をパクッと口の中へ。 途端、甘みが口いっぱいに広がり、チーズのあの独特なくせのある感じが後を引く。 うん、普通に美味しい。 美味しいけど… これ全部一人で食べなあかんのか……
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