Lesson 1

3/37
前へ
/190ページ
次へ
 私の名前はアイリーンではなく、外国人でもハーフでも無い。 ただ耳に残っている幼く柔らかい声は確かに 「アイリーン」 と私を呼んでいた。  最近、この夢を頻繁に見る。  突っ伏した机から身体を起こし、すっかり文字で埋め尽くされている黒板に視線を向けると、鬼のような形相をした教師と目が合った。 現国の教科を教えている鶴見は奥村藍里(おくむら あいり)のクラスの担任でもあるが、どうも反りが合わない。 「……奥村、今日の放課後までにノート提出な」 「なんで私だけ」 「俺の授業で毎回気持ちの良いほど爆睡してんの、お前くらいだから」
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加