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記憶を頼りに写真を探してみても見つからないし、その頃の記憶を確かめられるような存在もいない。
両親は小学生の頃に交通事故で他界した。
今は祖母に引き取られ、二人で生活している。
「藍里、やっぱりここに居た」
薄っすらと眠りに飲まれかけていた瞼を開くと、同じクラスの柳南海(やなぎ みなみ)がぼやけた視界に映っていた。
「南海か……」
「何その嫌そうな顔。せっかく人が現国のノート貸してあげようと思って来たのに。……成績、下げらんないっしょ?」
「まぁね。鶴見の奴、何かと突っかかてくるし」
長く伸ばしている髪が、太陽の光を浴びて熱を帯びている。
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