プロローグ

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朝、道にはもう誰も歩いていない。 しかし、一人だけ走っている影があった。 走っているのは[斎藤拓斗]、中学男子の平均より少し高めの身長、黒髪黒眼、黒い制服に身を包んだ少年。 これでも高校二年生だ。 授業開始五分前の鐘が鳴るのと同時に学校に着いた。 「あぶねぇ~。遅刻する所だった」 しかし、もうすでに八時十五分過ぎ。 廊下を走って二階に行く。 (ん~?何の音だ?) 二階へ上がった所で、拓斗は何かの音がしたのを聞いて止まった。 そこは、昨日までトイレだった場所、今はなぜか厨房になってしまっている。 そこから音が鳴っているようなので、覗いて見ると、ソコにはタコがいた。 「えっ!何でタコ!?ってゆうか孝太!?」 「見んじゃねぇーーーー!」 拓斗の友人である孝太は、包丁を持ち、自分の足を切っていた。 怖くなって再び走り出し、三階に上がる階段を上る。 三階に上がり切った所で、目の前に人が飛び出して来た。 「ちょっと待った!」 飛び出して来たのは、拓斗と同じクラスの[野口雪兎]だった。 「ッ!?・・・なっ・・・なっ・・・」 そこにいたのは、紛れもなく雪兎だった。 だが、いつもの雪兎とは決定的に違う部分があった。 (なっ、何でコイツ羽根が生えてるんだ!?) その時、大きな破砕音が教室から聞こえてきた。
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