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――あの人、いつのまにカーテンを変えたのかしら?
そういえば、強盗が変なことを言っていたような……「俺の部屋で一体何をしているんだっ!」?
何を言っていたのかしら? この部屋はあの人と私のための部屋なのに。
私は軽く首をかしげ、ふふっと笑う。
――いけないいけない。考え事で手が止まっていたわ。あの人が帰るまでにやらなきゃいけないことがたくさんあるんだから。ぼんやりしている暇はないわね。
私はあるべき所へちゃんとボタンを縫い付けると、素早くブラウスを身に付けた。
ふと、なにか違和感があるのに気が付く。4つ目のボタンはきちんと元の位置についているのに、なにかが変だ。
戸惑っているうちに、みるみる涙が溢れてくる。ぽたぽたと意味もわからず泣きながら、私は本当にこんなことをしていていいのだろうかという思いが頭をもたげてきた。
さてどうするべきかとちょっと考えてから、私はブラウスについているボタンをすべて引きちぎってみた。
――そうよ。これでいい。隠すから格好わるいのよ。隠す必要なんてないんだわ。ぐるぐる渦巻いている、この不可解な感情だって、抑えよう見ないようにしようだなんてするから迷っちゃったのよ。隠す必要はないわ。隠す必要なんて……。
ボタンの無くなったブラウスを着、あるべき状態におさまった私は、満足してため息を吐く。
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