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「もー、ポッキーったら、探したんだからねー」  少しすると、にぎやかな誰かは新しい誰かと一緒に戻ってきた。  そちらはどなた? と尋ねると「絶対てめえのせいだ」と返事がきた。 「どうしたの、ポッキー? なにか気になるものでもあるの?」  新しい誰かが不思議そうに言う。それから、あっと声を出した。 「あの部屋、カーテン変わってる。……引っ越して、別の人が入ったんだ」  ヒッコシ?  ボクが言うと、にぎやかな誰かがそっと「住みかを移ったってことだ」と教えてくれる。 「まぁ、それはそうよねー。あの部屋の人につきまとってたストーカー、赤の他人の私から見てもかなりヤバイ感じだったし」  新しい誰かは、どこか納得したような、しみじみとした口調で言った。 「さ、お散歩の続きしよっか、ポッキー?」  ポッキー、と呼び掛けられたにぎやかな誰かは、しぶしぶといったふうに「へいよ」と返事をし、ボクには「あばよ」と挨拶をして、再び行ってしまった。
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