第1話

6/8
前へ
/12ページ
次へ
《何が悪い、事情はわからないけど、許さん!》 でもどうしようもない、俺には奴を倒せるだけの力がない この世界に来るまでの、俺だったら多分飛び出して奴に殴りかかってただろう、 でも、あの日辞める時に俺の自信は大きく削ぎ落とされている だから仕方ない事だ、ここで見てる事しか出来ないと諦める でも助けたい、そんな相反する気持ち じゃあ今考えつく限りの事をしようと、腹をくくった俺は弱虫だろう 考えてからの、行動は速かった 未だに少女をいたぶる奴の近くに、石を、投げるこれが、俺の考えたこと ただの、嫌がらせであり、諦めた俺が考えついたこと (なんだ!)とか言いながら、そちらの方をチラッと見る 俺は《今だっ!》と、コソッと少女の後ろの木まで回る、足音は最小限に抑え、これももし隙が出来たら助けよう、とか考えていた 俺なりの考え 少女は、奴の声に萎縮しきっていたのだろう、聞こえてないよう 奴がまた少女の方を見て、殴ったりしだす、時折少女の泣き声が耳にさわる 俺は更なる、怒りを覚えるけども我慢 「ゲヘヘ、それじゃあそろそろ」 奴は、とうとう飽きたのか、少女の服を掴んで引きちぎった 少女の(嫌っ)という小さい声 俺の中で、何かがはじける音がした 石を奴の反対側にもう一度投げる 奴は一瞬そちらを向いた その一瞬 俺は何も考えず駆け出す すぐに男との間合いをつめて、何が起こっているか分からない奴の鼻先に一発 「ドスッ」 さすがに驚いた奴だが、まだよろめいて立っている
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加