記憶

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一生懸命、自然を装う。 そして心の中で繰り返す。 落ち着け、落ち着け。 悟られないように振る舞った……つもりだったのに。 「何か緊張してる?」 鞄に手をかけるのとほぼ同時に言われてしまった。 私の精一杯はあっさり見破られてしまっていた。 「そ…そんなわけないし!」 最悪…… どもったうえ異常に語尾に力が入りすぎた。 これじゃあ、自白したようなものだ。 でもこれ以上、ここにいても状況が悪くしかならないのは一目瞭然。 もうなんとしても帰るしかない! .
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