記憶

7/15
前へ
/32ページ
次へ
「じゃあね」 そう言って一気に教室を出て……行くつもりだった。 でもできなかった。 竜哉に腕を掴まれてしまったから。 教室から出るどころか一歩も動けなかった。 ゆっくりと振り返る。 竜哉が意味ありげに微かに笑っていた。 「腕……離してよ」 震える声を振り絞って言う。 でも竜哉は手を緩める素振りさえ見せない。 「離してってば!」 今度は強く言って掴まれた腕をバタつかせた。 .
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加