記憶

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竜哉の手の力が強まったのが分かった。 腕を動かそうとしてもビクともしない。 「嫌だって言ったらどうする?」 意味ありげな笑みを浮かべながら竜哉が言った。 一気に頭に血がのぼったのが分かった。 顔が異常に熱を帯びた。 信じられないくらい早く打ちはじめる鼓動。 息がうまくできないくらい緊張が最高潮に達しつつあった。 もう自分の鼓動しか聞こえない。 すべての音がかき消されてしまった。 「あの日もこんな風に教室に二人っきりだったよな」 .
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