記憶

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竜哉は無言のまま私から全く目を反らさないで一歩進む。 「もう分かったから」 自由な方の手で竜哉の胸を軽く押して静止を促し、また下がる。 竜哉は焦る私をよそに私が一歩下がれば一歩進んだ。 それの繰り返しが何回も続いた。 トンッ。 気付いたら後ろのロッカーにぶつかっていた。 もう後ろはない。 逃げ場をなくしさらに早くなる鼓動。 どうしよう…。 これじゃあ、自分で再現しているようなものだ。 竜哉から目を反らしうつむいた。 .
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