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触れると思っていた唇はまだ感じられず代わりに竜哉の声が聞こえた。
恐る恐る目を開ける。
すごく近い竜哉の顔。
唇は触れそうで触れない微妙な距離を保っていた。
唇には竜哉の熱い息がかかる。
｢…何で？｣
緊張と少しの恐怖で震えた声で頑張って聞いてみた。
私の言葉に驚いた様子で少し顔が離れた。
でもまだ全然近い距離。
｢本当に分かんないの？｣
少しの冷ややかな口調。
私は本当にどうして竜哉がこんなことをしたのか……するのか分からなかった。
何も答えることができない私から悟ったのか竜哉が少し顔を強張らせた。
｢ムカついたから｣
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