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瀬織は、
「と、言うことは、空飛べるわね。」
と、前にも言っていた飛翔能力にこだわった。
「可能だな。空に自分を固定すればいいだけのことだ。空は飛べないという観念が邪魔してできないのだろう。」
ハカセは、陣平に向き直り、ガシッと手を握った。
「お前ならできる。
いいか?背中や足に、それ用の機械を着けたら、ヤルンダーJは、海の上も走るし、空も飛ぶ。
だから、お前ならできる。常識を捨てろ。」
陣平は、やたらと力説するハカセが、不思議だった。
「なんで、そこまで空にこだわるのさ?」
ハカセは、顔を背けた。
「お前、今度は海の上で戦うのだろう?
泳いで戦うのか?」
「あ…」
「泳いでいるところに、対戦車砲でも射たれたら、けっこう、ヤバイだろうが。」
陣平は想像した。
「船から降りないで、戦えば…」
「手段が、近接攻撃しかないのにか?
大体、貴様ときたら、なんだ!」
ハカセは、怒り出した。
「は、はい?」
「この前から腕は切られる、ヘド吐いて倒れる、
まったく成長しとらん!
アネサンに会った頃と変わらないではないか?自爆バカが!」
「あ、はい。」
陣平は、痛いところを突かれた。
ハカセは、瀬織に、
「アネサン、今夜泊めてくれるか?
このバカちんの、意識の壁を壊す。」
瀬織は、ニヤニヤした。
「いいけど、どうやって?」
「催眠暗示で、常識の壁を取り払う。
あまり、そういうのは得意ではないが、やらないよりましだろう。」
米本が、口を出した。
「そういうことなら、私が行きましょう。」
瀬織は、ギクリとした。
米本は、意識操作が得意だ。
瀬織は、ひきつりながら、
「では、お願い申し上げますわ。」
と、了承した。
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