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イルミネーションの景色を見終えた後、私は社長に家まで送ってもらっていた。
車の中は、小さく音楽が聞こえるだけ。
何か会話したほうがいいかなぁ?
今まで、社長と仕事以外で話したことを思い出そうとしたけど、何も思い浮かばずにいた。
ああ、どうしよう。
焦ると余計に緊張してしまう。
私はそっと、社長に話しかけてみた。
「社長」
「ん?」
「今日の、あの場所は、前から知っていたんですか?」
「ああ。武志のホテルってこともあって、よく行く場所だからな」
「…すごく、キレイでしたね」
私は、さっき見た絶景を思い出して、顔が緩んだ。
「だろ?」
社長も笑って話してくれた。
車が赤信号で止まる。
「だけど、俺はもう一ついいところを知ってる」
私はその言葉を聞いて、社長を見た。
社長も私を見る。
「必ずそこに、なるを連れて行く」
信号が青に変わったのか、車がゆっくり動きだした。
私はその後、顔が熱くなる一方で、言葉がでてこなかった。
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