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年が明けての仕事始めの日。
いつもよりも早めに起きて、私は会社へ行く支度をした。
時間に余裕があると、ゆとりができる。
会社もはやめに向かった。
なぜだか、心が弾む。
久しぶりの出勤だから?
それとも、このマフラーを巻いてきたから?
「明けましておめでとうございます」
受付嬢に笑顔で挨拶し、自分の持ち場へ向かった。
まだ急ぐ時間でもないのに、ついつい足早になる。
今日は、社長室もいつもより丁寧にお掃除した。
「完璧!」
きれいになった部屋を見渡して、声がでた。
私がカウンターに戻ると、同時にエレベーターが開いた。
あ、社長!?
心臓がはやく鳴りはじめた、と思ったけど、すぐに心臓は落ち着きを取り戻す。
降りてきたのは、専務。
「専務。明けましておめでとうございます」
そう言って一礼した。
「おめでとうございます。相沢さん」
「今年もよろしくお願いします」
専務は笑顔で頷いてくれた。
「相沢さん、社長のことなんですが…」
私は、専務の口から出る次の言葉を待った。
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