年が明ける

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「まだ、韓国にいらっしゃいます。少し予定が伸びるそうです」 「……そうですか」 特に驚きはしなかった。 多分、エレベーターから降りてきた専務を見たときに、心のどこかでそうなんじゃないかなって思った自分がいたんだと思う。 「なので、社長が戻るまでは、前と同じくお願いしますね」 「はい。わかりました」 専務が立ち去ったあと、私はしばらくその場に立っていた。 社長…、いつ戻ってくるのかな? 考えても答えはでないに決まってるのに。 でも、きっとすぐだよね。 すぐ帰ってくるよ。 半ば自分に言い聞かせるようにして、私はカウンターに座った。 その後、私の考えは脆くも崩れる。 1週間たっても、2週間たっても、社長が戻ることはなかった。 このままいったら、私、社長がいない仕事に慣れちゃうんじゃない? そんなことを考えながら、私はカウンターで、専務に頼まれた資料を一部ずつまとめていた。 社長がいないこの最上階は、私一人では広すぎる。
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