年が明ける

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社長がいたときは、そんなこと思ったことなかったのに。 自然とため息がもれた。 気づくとエレベーターが上がってきていた。 専務かな? エレベーターから降りてきたのは、専務じゃなかった。 たしか、総務課の課長…。 「高野課長?」 高野課長は私を見てニコッと笑った。 「ちょっと社長室いいかな?専務には許可貰ってきてるんだけど」 「あ、はい」 「1983年代の資料、社長に預けたままでさ。相沢さん、社長がいつもどこに資料置いてるかわかる?」 「あ、ごめんなさい。そこまでは分からないんですが、私も探すの手伝います」 「悪いね」 私たちは社長室へ入った。 「社長はいつもデスクにいるので、デスクだと思うんですけど…」 私は社長のデスク周辺を見渡した。 きれいに並んでいるファイルを一つ一つ取り出すと、 「あ!これこれ」 高野課長が、私の持っているファイルを指さした。 「よかった。すぐに見つかりましたね」 私は、高野課長にファイルを手渡した。 「ありがとう。助かったよ」 「いえ。私何もしてないですよ」
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