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高野課長は、またニコッと笑った。
「相沢さん。どう?秘書の仕事だいぶ慣れてきた?」
「あ、はい。少しずつですけど」
「社長厳しいだろ?大丈夫?」
私は笑って答えた。
「少し厳しいですけど、優しいところもありますよ」
「そっか。大丈夫そうだね。よかった」
そう言って、高野課長は私にお礼して社長室を出ていった。
私も、さっき取り出したファイルを元に戻し、社長室から出てドアを閉めた。
この階に、専務以外の人が来るの久しぶりかも。
いつ以来だろ?
私はカウンターに戻ろうと、歩き始めた。
いったい、社長はいつ帰ってくるの?
まだ向こうの仕事終わらないの?
こんなに時間がかかるなんて、思ってもいなかった。
胸がなんだかざわめいて落ち着かない。
はやく、はやく帰ってきてよ!
………はやく帰ってきてよ?
私は、その場に立ち止まった。
私、…社長にはやく帰ってきてほしいの?
胸の奥が、ギュウッと苦しくなってくる。
私、…社長に会いたいの?
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