知ってる

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私はまたカウンターの席に座った。 よかった。まだもう少し、社長のこと待ってられる…。 しばらくそこに座って、手帳を広げて見ていた。 前の予定なんかを見つめながら、社長はホントに忙しい人だなぁと改めて思ったりして…。 エレベーターを眺めては、手帳に視線を戻すの繰り返し。 ふと椅子から立ち上がり、足は社長室へ向かった。 ノックしてみる。 コン、コン。 返事はない。 ドアを開けて、社長室の中へ入った。 私は歩いて、社長のデスクの前で止まった。 「まだ、帰ってこないんですか?」 やるせない想いと、せつない想いが入り交じる。 つい、呟いてしまった。 社長室の時計を見ると、もういつの間にか8時をまわっていた。 もしかしたら、会社には戻らず、家に帰ったのかも。 ここに来るなんて、専務言ってなかったし。 …今日も会えないのは寂しいけど、帰ってきてるのはわかってるんだから、来週の月曜日にはきっと会えるよね。 来週まで、少し我慢すればいいだけ。 …帰ろう。 帰る決心をつけて、その場から離れた。
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