知ってる

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私は振り返り、ドアへ向かう。 ギュッとドアノブを掴んだ。 と同時にドアノブがグルッと回ったので、私はびっくりして手を離した。 え?何!?何!? ドアがゆっくり開いていく。 …誰? 開いたドアの先に立っていたのは、 自分がずっと待ち続けていた人。 社長が顔をあげる。 私と、視線がぶつかった。 「……なる!?」 社長が、目を丸くして私を見ている。 久しぶりに見た社長を前に、私の鼓動はいつの間にか大きくなりだしていた。 「…、…社長…」 ふ、不意討ちだ…。私の中では、今日はもう会えないって想定していたのに…。 「あ…、あの…」 いきなり予定を覆されたため、言葉がでてこない。 「…こんなとこで、何してるんだ?」 社長が不思議そうに私を見ている。 ああ…どうしよう。何て言えばいいの!? 「あ、あの…、何て言うか…、あの…」 完全にパニクった…。 下を向いたり、右見たり、左見たり…挙動不審もいいところ…。 そんな私を見て、社長がいきなりクックックッと笑い出した。 その久しぶりの笑顔に、私の頬は熱くなる。
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