知ってる

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一礼して、社長の脇を通りすぎようとしとき、 ガシッ っと腕を社長に捕まれた。 えっ!?何? 私は社長のほうを振り返った。 「なる、おまえまさか、自分の家に帰るつもりなのか?」 「あ、…はい…?」 それが、…何? 「俺と、一緒にいたくないのか?」 その社長の言葉に、顔が勢いよく熱くなる。 「え!?…え!?」 そんな…、そんな…、私、どうすればいい!? 私の気持ちを知ってか知らずか、話をどんどん進めていく社長。 「俺の家に来い」 しゃ、社長の家!? ちょっと待って!いくらなんでも急すぎる…。なんて言えばいいの? 「……嫌か?」 私は一人で焦りながら社長の顔をチラッと見てみると、なんだか寂しそうな表情をしていた。 あ…、やだ…社長がそんな顔しないでよ…。 「い、嫌じゃないです!…むしろそう言ってもらえて、うれしいし、……あの…」 私が慌て言ったその言葉に、社長がさっき見せていた寂しそうな表情は一変、ニヤリと笑った。 「そうか。なら決まりだ」 え…?ええ!? 社長、それは、…ズルいと思います!
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