好きだと言ってる

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私の中に、ギクッとしている自分がいた。 社長の真剣な眼差しから、視線を外し、下をむいた。 いろんな社長への疑問を聞けるのは、今なのかもしれない。 私は、覚悟を決めて顔を上げ、社長を見た。 「社長のまわりには、私よりキレイで素敵な女性がたくさんいます。出会ってまだそんなにたたないのに、どうして私なんですか?」 はっきりした質問だと、自分で思った。 社長は首を傾げ、上を見上げた。 「たしかに…」 たしかに…って! ちょっと!社長が真剣に聞いてきたから、私も真剣に答えるつもりで聞いたのに! 社長は、やっぱり私をからかっているの!? 私は社長を疑いの眼差しで見た。 そんな私に社長の視線が戻る。 「たしかにそうかもしれないが、おまえは簡単に俺の中に入り込んできたよ」 社長が笑った。 「気付くのに、かなり時間はかかったが」 え? どういうこと? 時間がかかったって…? 社長が私の頭を優しく撫でた。 「まあ、いい。もう遅いし、今日は部屋に入れ」
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