悠哉

2/11
前へ
/37ページ
次へ
私は今、緊張で高鳴る胸を必死に抑えながら、自分の部屋の中で、社長の家にお泊まりする用意をしていた。 あのあと、いくら理由をつけても社長に通用することはなかった。 「帰ってきたばっかりで、社長疲れてませんか」と言えば「俺は疲れてない」 「今から行ったら、私、電車なくて帰れなくなります」と言えば「泊まっていけ」 「いきなり行っても、泊まる用意も何もしてないのに…」と言えば「おまえの家に寄ればいい」 ああ、さすが社長。私に有無を言わせない…。 …どうしようなんて思っても、ここまできたら、どうにもならないか…。 泊まりに行くってことは……そういうことだよね? 私…正気を保っていられるかな。 「ふぅ…」 一息ついて、時計を見た。 社長待たせてるんだから、急がなきゃ! まとめた荷物を持って、社長が待ってる車へ向かった。 ドアを開けて車に乗り込む。 「すいません。お待たせして」 「いや、大丈夫だ」 そう言うと、車がゆっくり走りだした。 社長の家かぁ…、どこなんだろう? …いろいろ考えるだけで、緊張してくる…。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1658人が本棚に入れています
本棚に追加