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私は今、緊張で高鳴る胸を必死に抑えながら、自分の部屋の中で、社長の家にお泊まりする用意をしていた。
あのあと、いくら理由をつけても社長に通用することはなかった。
「帰ってきたばっかりで、社長疲れてませんか」と言えば「俺は疲れてない」
「今から行ったら、私、電車なくて帰れなくなります」と言えば「泊まっていけ」
「いきなり行っても、泊まる用意も何もしてないのに…」と言えば「おまえの家に寄ればいい」
ああ、さすが社長。私に有無を言わせない…。
…どうしようなんて思っても、ここまできたら、どうにもならないか…。
泊まりに行くってことは……そういうことだよね?
私…正気を保っていられるかな。
「ふぅ…」
一息ついて、時計を見た。
社長待たせてるんだから、急がなきゃ!
まとめた荷物を持って、社長が待ってる車へ向かった。
ドアを開けて車に乗り込む。
「すいません。お待たせして」
「いや、大丈夫だ」
そう言うと、車がゆっくり走りだした。
社長の家かぁ…、どこなんだろう?
…いろいろ考えるだけで、緊張してくる…。
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