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息苦しくなったのは、金曜日のバレンタインデー。
どうやって渡すかいろいろ考えた結果、コーヒーを持っていくときに一緒に出そうと思いついた。
午後3時、コーヒーとチョコレートの小包をお盆にのせ、社長室へと向かう私。
…ああ、仕事以外の話をするのって、何日ぶり?
なんか、鼓動がはやすぎて胸が苦しいんだけど…大丈夫かな?
ドアの前で一度深呼吸した。
片手をあげてノックする。
コン、コン。
「はい」
「…私です」
「入れ」
「…失礼します」
ドアを開けて中へ入った。
悠哉が顔をあげて私を見た。
「あの、コーヒーお持ちしました」
「ああ、ありがとう」
私は悠哉のデスクまで歩き出した。
ヤバい、手が震えちゃいそう…。
なぁんて余計なことを考えていたら、いきなり悠哉のデスクの上にある電話が鳴り出す。
ルルルルル、ルルルルル…
びっくりし過ぎて危なくコーヒーを溢しそうになった。
悠哉が私を見た後、受話器をとった。
あれ?…悠哉、今私を見て微かに笑ったような…。
優しい悠哉の表情を見て、少し緊張が溶けた気がした。
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