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私は静かに悠哉の話を聞いていた。
「なにか集まりと言ってはよく一緒になることが多かった。…ただ、それだけだ」
…それだけ?
悠哉が私を見て微笑んだ。
「彼女から直接気持ちを伝えられたりしたことはないが、会うたび食事に誘われていた。…今思うと、昨日のはいいきっかけだったかもしれない。これで少しは落ち着くだろ」
…そうなんだ。
その話しを聞いて、胸を撫で下ろす自分がいた。
「なる」
悠哉が右手で私の頬にそっと触れた。
「俺のこと知りたかったら、いくらでも聞け。好きな女に自分のこと聞かれて、嬉しくないわけないだろ?」
う…、うれしすぎる。
ホッとしたせいか涙ぐんできて、鼻をすすった。
「おいおい、泣くなよ。鼻、大丈夫か?ティッシュとるか?」
「だ、大丈夫です」
悠哉は困ったように笑いながら、私の頭を撫でた。
悠哉はいつも堂々としてて、俺様で、厳しくて、意地悪だけど、それに負けないくらい優しくて、懐が大きくて、私を包んでくれる。
もっと、悠哉を知りたい。
もっと、私だけが知ってる悠哉を見つけたい。
胸が熱くなった。
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