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悠哉がベッドに座り、私は背中のほうへ膝立ちして回った。
その爪のあとをまじまじと見つめた。
おもむろに自分の手を重ねてみる。
「ああ!」
大きい声をだしたら、悠哉が私を振り返った。
「悠哉、ごめんなさい!これ、私だ!背中の爪のあと、たぶん、私!」
背中に爪で引っ掻いたような傷痕を見ながら、私があたふたしていると、悠哉は落ち着いて話した。
「たぶんじゃなくて、おまえだ。おまえしかいない」
その言葉に顔をあげて悠哉を見た。
「俺も寝るときまで気づかなかった。なんか違和感があるなとは思ってたんだが」
うそ!?私、悠哉のきれいな身体に、なんてことしちゃったの!?
しがみついた拍子につけちゃったのかな?抱かれてるのに夢中で、全然気づかなかった…。
「悠哉、ごめんなさい!痛い?ごめんなさい!」
悠哉がクスクス笑いはじめた。
「大丈夫だ。たいしたことじゃない」
「でも…」
すると悠哉もベッドにあがり、ジリジリと私に近づいてくる。
「気にするな。…それに、ちゃんとおまえに仕返ししておいただろ?」
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