火種

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「キャーッ!もうこんな時間!…悠哉、私さきに出ますね!」 「あ、おい!俺の車に一緒に乗っていけ!」 「大丈夫です!ちゃんと駅の場所もわかってますから」 そう伝えて、私は急いで悠哉の家を飛び出した。 まさか朝からこんなに走ることになるとは…。 悠哉のぬくもりが気持ちよすぎて、危なく寝過ごすとこだった…。 悠哉でさえ、目覚ましに気づかないなんて…。 さっきの悠哉の言葉を思い出す。 悠哉の車なら、まだ家を出なくてもいいかもしれないけど、さすがに一緒に出勤するのはマズイ…。 朝の風は、まだどこか冷たさが感じられた。 それでも、もうすぐ3月。 春はもう間もなく。 いつもと出勤する風景が違うだけで、なんだか真新しい気持ちになってくる。 駅に着き、電車に乗りこんだ。 窓の風景も違えば、乗ってくる人たちも、周りの音も違う。なにもかもが新鮮に感じた。 そんな今を、私は1人楽しんでいた。 窓の外を見ながら電車に揺られていると、いきなり声をかけられる。 「あれ?相沢さん?」 聞き覚えのある声に、私は振り向いた。
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