火種

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振り向いたさきに立っていたのは、高野課長だった。 「あ!高野課長!…おはようございます」 「おはよう」 そう言って高野課長は、いつものようにニコッと笑った。 …どうしよう。…なんか、動揺しちゃう。 「隣、座っていい?」 …え!?…隣に座るの!? 「あ、は、はい!」 なんとか笑顔で返事した。 なんで、いつも見つかりたくないときに限って高野課長なんだろう!? …ヤバいよね?なんかつっこまれる前に、自分から話ししたほうが良くない? 先手必勝だよ! 「あの、高野課長はいつもこの電車なんですか?」 「いや、いつもは車だよ。今日は、夜に取引先と会うことになっててね。たぶんお酒入るだろうから、前もって電車にしたんだ」 「…そうなんですか」 ホッ…。いつもこの電車じゃないんだね。よかった。とりあえず一安心。 「今日は、ほら、この間うちのがトラブった取引先!そこと会うことになっててね。…俺は一応付き添いでさ」 「…もう、そのトラブルは大丈夫なんですか?」 「うん。社長のおかげでね」 それを聞いてさらに安心した。
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