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私はそれを聞いて苦笑いした。
「私、いっぱい機能ついてても、結局電話とメールしか使えないで終わっちゃうんです。だから、これぐらいがちょうどよくて」
「そうなんだ」
高野課長がクスクス笑っていた。
「でも、私も若者らしくデコってるんですよ?」
そう言ってケータイの表面を見せた。
「アハハ!ホントだ。これ、パンダ?」
そうやってワイワイ高野課長と話していると、いつの間にか会社の最寄り駅に到着。
そのまま高野課長と会社へと入っていった。
高野課長が受付嬢に挨拶する。
私もそれに続いて挨拶し、エレベーターへ乗った。
「高野課長、まっすぐ総務課でいいですか?」
「うん」
総務課は、専務のいる階と、その下の階と、ふたつの階にまたがっている。
高野課長は、いつも専務のいる階で過ごしているのを、私は知っていた。
その階のボタンと、自分が向かう最上階のボタンを押した。
エレベーターが、ゆっくり動きだす。
「朝家を出るとき、本当は車にしようか電車にしようか、かなり悩んだんだ」
私は、高野課長の話しに耳を傾けていた。
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