火種

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「たまには電車で来てみるもんだね」 それを聞いて、高野課長を見ながら私も話した。 「いつもと違うと、なんか新鮮ですよね」 自分も今朝、そう感じたばかり。 すると、高野課長が私を見てニッコリ笑った。 「相沢さんと、朝からこんなに話すことができて、よかったよ」 …ん? 私が返す言葉が出ないうちに、エレベーターが到着してドアが開いた。 「それじゃ、また」 そう言って高野課長はエレベーターを降りていった。 ドアが閉まる。 …あれ? …高野課長って、そんなにおしゃべりが好きなの? 私も、時間潰しになったからよかったけど…。 「………」 …まさかね。 エレベーターはすぐに最上階へ到着。 私は、悠哉を迎えるための準備を始めた。 さっきまで一緒にいたのに、また一緒にいられるのかと思うと、なんだか胸がくすぐったい。 コーヒーの用意をしながら思った。 がんばろう! 仕事も恋も、悠哉にいっぱい愛情を込めて。 どっちもがんばろう!
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