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「あたしの夢はアンタに会う事。
その袋の中にあたしの夢は入ってないのかな?」
ギュッとあたしはサンタクロースの袋を握りしめる。
「麗華ちゃん……」
スッとサンタクロースがあたしの手を握る。
「あ、名前呼んでくれた」
初めて呼んでくれた。
ちゃんとあたしの名前、知っていたんだね……。
「そういえばそうだな。
初めて名前呼んだな」
自分があたしの名前を呼んだ事にサンタクロースは気付いた。
きっと自然にでたんだね。
何か嬉しい……。
「アンタがあたしの事フッてもあたしはあんたを思い続けるから。
あんたが毎年あたしのとこに来るように思い続けるから」
あたしが思い続ければサンタクロースは消える事はない。
あたしの心にサンタクロースがいる限り消えない……。
「……だからわざと負けたのか?」
真顔でサンタクロースは綾氏を見る。
こんな顔初めてだ。
いつもヘラヘラしてるか、オロオロしてるかなのに……。
「え?」
初めて見るサンタクロースの表情にあたしは戸惑う。
「俺が気付いてないとでも思ったのか?」
サンタクロースはあたしの肩を掴んだ。
「……わざとじゃないよ」
震える声であたしは答える。
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