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「俺に勝てる実力、十分あるのに最後力抜いただろ?」
サンタクロースは少しあたしの方につかラを入れる。
「抜いたんじゃないの。
抜けたのよ。
勝ったらアンタに会えなくなると思ったらスーッと力が抜けたの」
そっとあたしはサンタクロースの手を握った。
勝ったらおしまい。
あたしの中でいつも葛藤があった。
でもサンタクロースに会いたい一心であたしは無意識のうちに負け続けていた。
「……クロスさん。
そろそろホントの事伝えたらどうです?」
外にいたトナカイが中に入ってきた。
この人……。
いや。
このサンタクロース、名前は『クロス』って言うんだね。
「カイ!」
トナカイ……カイの登場にサンタクロース……クロスさんは驚く。
「ホントの事?」
あたしはカイの言葉に首を傾げる。
「サンタクロースは毎年担当地区が変わるんです。
その理由は毎年同じとこに行くと正体がばれるリスクが高くなるからです」
ポツリポツリとカイは話し始める。
「それ以上言うな」
クロスさんはカイの言葉を制止する。
「聞かせてよ。
その話……」
聞きたい。
ちゃんとホントの事を……。
「麗華ちゃん!」
あたしの言葉にクロスさんは焦る。
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