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「何で?」
理由がわからずあたしは首を傾げる。
「何で……って。
そりゃ、企業秘密だからさ」
溜息混じりにサンタクロースは言う。
「キギョーヒミツ?
何それ?」
幼稚園児のあたしにはその言葉が理解できずきょとんとしていた。
「いいか。
サンタクロースは人ならざる存在なんだ。
つまり人間じゃないの。
神界の生き物だから人間には見えない仕組みなの」
左手の人差指を立ててサンタクロースはあたしに説明する。
「見えてるよ?」
あたしにははっきりとサンタクロースが見えていた。
見えるはずのない者が見える事に対し、あたしは理解できないでいた。
「それが不思議なの」
あたしを見つめサンタクロースは不思議そうな顔をする。
「で、何で袋の中見せてくれないの?」
スキをみてあたしはサンタクロースの袋を奪おうとしたが、間一髪で回避される。
「おっと。
油断ならないな。
この中には『夢』が詰まってる。
サンタ以外が開けるとその夢は消えてしまうのさ」
ポンポンっと袋を軽く叩きサンタは言う。
夢が詰まってるとか……。
今思うと不思議な話だ。
「じゃあさ、サンタの袋を見るのが夢だったらいいの?」
あたしはキラキラと目を輝かせる。
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