1人が本棚に入れています
本棚に追加
***
――そして現在――
「もうそろそろ諦めたら?」
力尽きて寝そべるあたしを覗き込みサンタクロースは言う。
そしてベリベリと付けひげとまゆげをはがす。
中から顔立ちの整った青年の顔が現れた。
これがこのサンタクロースの『素顔』だ。
戦いが終わると何故かいつも素顔を見せる。
「却下。
あたしはアンタに勝ってその袋の中身を見るんだ」
渾身の力を込めてあたしは起き上がる。
「……そんなに見たいのか?」
あたしを見ながらサンタクロースは袋をパンパンと叩く。
「うむ」
コクリとあたしは頷く。
もう見せてくれる気になったのかな?
「君くらいになるともう僕達サンタは見えなくなるはずだが、その一心で見えてるんだろうな」
ポリポリとサンタクロースは頭をかいた。
確かに。
あたしくらいになったらもう殆どがサンタクロースを信じないのかもしれない。
存在事態を封印するのかもしれない。
でもあたしは……。
「見えなくなるとか言うなよ」
俯いたままあたしは言う。
「へ?」
あたしの変化にサンタクロースは驚いている。
最初のコメントを投稿しよう!