prologue

3/5
前へ
/5ページ
次へ
  神歴2034年 某日――神聖国家[大和] 某所  ジリリリリリッ! ジリリリリリッ!  ドンドンドンッ!  実に幻想的で綺麗な月が夜空に顔を出している。そんな月夜にそぐわない、絶え間なく鳴り響く警報、そして銃声――  制服姿の警備兵が大勢集まって銃を発泡している。しかし―― 「あぁーあ、こんなに人集めちゃってぇ~。めんどくさいったらあらしませんなぁ~」  十数人余りいる警備兵に対して、対象はたったの一人。ロングコート姿の若い少年だけだ  160cm前後の然程高くない身長。濃紺の髪に血ように赤い瞳、顔頬や衣服には生々しい鮮血が付着している  少年の右手には、自身の体躯に釣り合わない巨大な両刃の大剣を引きずるようにして持って。左手には此処までの間に殺したのであろう警備兵の見るも無残な死体を同じように引きずっていた 「あぁ~、もういい加減めんどせぇ~からよぉ~……」  少年は左手に持っていた警備兵の死体を投げ捨てて大剣を振りかざした  その瞬間――少年の意思に呼応するように大剣はその刃に幾つもの魔導紋(スペルカード)を浮かばせた
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加