神谷晋

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 「それ持って、奥へ行こう」 「分かった」 父親は一度、授業参観で姿を見た事があった。 その時も、素敵な人だなーと思っていたが、近くで見ると、少しばかり雰囲気が変わっていた。 この部屋は、ブランデーの香りが充満していた。テーブルを見るとロックグラスと、酒のボトルがのっていた。 あの時が陽ならば、今は陰のような、独特な陶酔状態だった。 「よう! るい、待ってたぜ。お帰り」 焦点が、揺ら揺らしている眼が僕を捕らえた。 「こいつ、神谷って言うんだ」 「初めまして、神谷です・・・・・・授業参観では、カッコイイ、素敵なお父さんだなーって、思ってました。 るいも美男子ですけど、お父さんもですよね!」
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