ボタンと悪魔

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翌日の放課後、いつもと変わらない風景の中を歩く。いつもと変わらない家々、いつもと変わらない木々、いつもと変わらない青空。いつもと変わらない、首の後ろに赤いボタンのある人々。 あの赤いボタンはなんなのか、ずっと気になってた。恐らく、あれが見え始めたのは母さんが死ぬ一ヶ月前くらいから。 更に気になるのは、ボタンの色の濃度。淡い赤色をしたボタンの人がいれば、真っ赤に染まったボタンの人もいる。赤から黒に染まりつつある人が、目の前を歩いてる。 【林檎、あれが気になるのかい?】 「うん。ずっと気になってるんだ。そうだ、悪魔の四月朔日なら、あのボタンのこと知ってるんじゃない?」 【あぁ、知っているよ。知りたいかい?知ったところで後味が悪いだけだけどね】 「どういうこと?」 【あのボタンはね、誰かを呪ったことのある人間にしか現れないモノなんだよ】 「呪い…?」 【呪いと言っても、丑の刻参りみたいな呪いじゃないよ?確かにそれもあるけど、人間の念は驚くほど強いモノなんだよ。特に、恨みや妬みと言った負の念はね。毎日誰かを恨み続けたら、それはもう呪いと一緒なんだよ。形なきモノが呪いという形を伴って、恨みの対象に降りかかるんだ】 「それと、あのボタンはどう関係あるの?」
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