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それは、2ヶ月前のことだった。
「…ほ、本当に大丈夫なの、リリィ姉様?」
当惑しきった顔で、エリザベスは年の離れた従姉に向かって訊いた。
今現在、エリザベスは何故か宝石をふんだんにあしらった仮面で顔を隠している。
なぜ、シェリード公爵家令嬢エリザベスが、
金糸のような髪を薔薇色に染め、
このように襟の開いた趣味の悪いドレスを着て、
派手な仮面なんかを身につけているのかというと。
話は、3時間ほど前に遡る。
いつものように午後のお茶を楽しんでいたエリザベスのもとに、突然従姉が現れたのだ。
口の達者な従姉に言いくるめられ、連れて行かれたのが趣味の悪い仕立て屋。
従姉はすでにドレスを用意させていたらしく、一度試着させられた。
その後小さな直しをさせている間に、洗えば落ちるという染粉で髪を染められ、それが終わると例のドレスを着せられた。
それから連れてこられたのが、この都のはずれの仮面パーティー。
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