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「どうしてあたしがあなたをここに連れてきたかわかる?」
パーティー会場を眺めながら、リリシアがエリザベスの耳元で囁いた。
「こんな自由ができるのは、今しかないかもしれないからよ」
どういう意味かわからず、エリザベスはリリシアを見つめ返した。
「あたしはそこそこの家の、理解のある夫に嫁いでよかったわ。
そこそこの自由ができるもの。
でもあなたは違うわ。
あなたの未来の夫は未来のシェリード公爵。
あなたの思い通りの結婚ができるとは限らない」
「姉様…」
レースと仮面越しに、リリシアが微笑む。
「今日は、あなたのしたいように、めいいっぱい自由なさい」
様々な料理と飲み物の並んだ台の上から、リリシアがシャンパンらしきものを取ってエリザベスに渡す。
おそるおそる、エリザベスは口をつけた。
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