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彼のサクセスストーリーは多くの人々を虜にしてきたが、社交界の中には彼を嫌う者もいる。
所詮は運だけでのし上がった庶民上がり。
そう言う者が社交界に多くいるのは事実なのである。
今回の婚約が決まった時も、心ない言葉を聞いたものだ。
しかし、エリザベスはそうは思っていなかった。
彼は実力で上がった努力家だ。
そう、信じていた。
「ごめんなさい。
身支度に時間がかかってしまって…」
ヴァレリアンの濡れた瞳をまっすぐ見つめることができなくて、エリザベスは下を向いて謝った。
身支度に時間がかかったというのは事実だ。
ヴァレリアンと初めて社交界に行くのだ。
彼が好きなのはいったいどんなスタイルなんだろう。
そう思っているうちにこんな時間になった。
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