prologue

6/9

54人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
彼のサクセスストーリーは多くの人々を虜にしてきたが、社交界の中には彼を嫌う者もいる。 所詮は運だけでのし上がった庶民上がり。 そう言う者が社交界に多くいるのは事実なのである。 今回の婚約が決まった時も、心ない言葉を聞いたものだ。   しかし、エリザベスはそうは思っていなかった。 彼は実力で上がった努力家だ。 そう、信じていた。 「ごめんなさい。 身支度に時間がかかってしまって…」   ヴァレリアンの濡れた瞳をまっすぐ見つめることができなくて、エリザベスは下を向いて謝った。 身支度に時間がかかったというのは事実だ。 ヴァレリアンと初めて社交界に行くのだ。 彼が好きなのはいったいどんなスタイルなんだろう。 そう思っているうちにこんな時間になった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加