prologue

7/9
前へ
/39ページ
次へ
「では、やはり当初の予定通り貴女をお迎えにあがり、手伝うべきでしたね」 「?…なにをです?」 「貴女の、その魅力的なお体を飾る手伝いです」   周りに聞こえないように耳許でそのようなことを囁かれ、エリザベスは耳まで真っ赤になった。 思わず顔をあげると、優しい微笑みをたたえた瞳とぶつかってしまい、彼女はなにも言えなくなった。 「そのドレス、とてもお似合いです。 …それから、そのネックレスも」   ヴァレリアンがはにかむような笑顔を浮かべた。 ヴァレリアンから贈られたネックレスは、つい先日受け取ったばかりのものだ。 婚約が決まってからふたりでデザインを考え、造ってもらったもの。 とはいえ細かい飾りのものだったから、結婚式に間に合えばいいというほどにしか思っていなかった。 だからヴァレリアンにプレゼントされた時は驚いたものだ。 仕事が速く、そしてきめ細かい。 本当に腕のいい職人を知っているのだなとエリザベスは感心した。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加