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とある世界の、とある国の、とある町にある、仕立て屋紬。
「うぉぉぉ…よく寝たな。でもまだ日の出かー。散歩しよう。」
三日間徹夜をし、仕立てた手縫いのパーティードレス。店主は満足したようでそのまま死ぬように眠り、今目覚めた。
「んー…たしか取りに来るのは昼過ぎくらいか?」
『正確に言えば午後一時だ。』
店主の質問に答えたのは、黒猫。店主の使い魔だ。
「お礼、たんまり貰わないとな。それで久々にうまいものが食べたいぞー!」
『お前が生地に拘りすぎるからだ!馬鹿者、地下の倉庫もそろそろいっぱいになるぞ。』
店主は浪費家のようだ、生地にのみだが。
「いーじゃんよー。だって俺仕立て屋だぜ?良い生地に一目惚れするのはしかたな…えぇー。」
『何だ、いきな…おぉこれは…』
一人と一匹の視線の先には黒い物体、基人であろうものがある。
「おぉーい、だいじょう…ばない!運ぶぞ!」
『出血が酷いな。【血よ止まれ】止血はした、いそぐぞ。』
「初めてお前の言霊に感謝シマスワー。」
これが
一人の仕立て屋と
一人の女と
一匹の出会いである。
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