発光

１

「何これ……どういうこと？」

　暖房がかかっているはずの店内の空気が妙に冷たく感じられる。その異様な様子にさすがの知佳も神妙な表情を浮かべた。

　展示されているテレビに集う人々の隙間から画面を覗き見ると、どうやらあの空を覆った謎の光は日本の他に中国、東南アジア諸国、オーストラリア、ハワイでも同様に観測されたらしい。

　すると、店内に同じ高校の制服姿を見つけた。クラスメイトの長澤だ。

「よっ、長澤！」

　おれが声をかけると、クラスメイトの長澤は即座に反応を見せた。

「おう智也、おまえもニュース見たのか？」

「ああ、いったい何が起きてるんだ？」

　だが、長澤も状況を飲み込めていないようで、ただかぶりを振るばかりだ。

「おれも携帯の充電器買いに来ただけだから詳しくはわかんね。だけど凄いことになってるのは確からしいぞ」

　すると、知佳がテレビ画面を指さして言った。

「ねえ見て！」

　おれと長澤はテレビ画面に目を移す。すると、画面が切り替わり、謎の光についての続報が語られた。

　オーストラリアの地磁気観測所が異常な数値の地磁気の変動を観測し、ハワイの太陽観測所では太陽半径のほとんどを覆い尽くしてしまうほどの黒点群から巨大な発光を目の当たりにしたのだという。