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先生は、きっとわかっている。 それだけは確かにわかって、私はただ会釈して、再び背中を向けた。 ……私が放送室に行かなくなって、三ヶ月が経ったけど、今まで戸田先生はなにも言わなかった。 私もそれに甘えて、退部するわけでもなく、ずるずると引きずったままだ。 私はまだ、放送という居場所を失いたくないらしい。 放送部の部員たちとも口をきいていないのに、また戻れるなんて淡い期待をしてしまう。 「茜ちゃーん」 呼ばれて私は、慌てて思考を切り替えた。
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