悪夢から正夢へ

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家に入ると、珍しくお母さんが私より先に帰っていた。 「ただいま。今日は早かったんだね」 「おかえりなさい。ええ。ねぇ紗耶」 「ん?なに?」 「紗耶に会わせたい人がいるんだけど…会って…くれないかしら…」 お母さんは言いにくそうに言葉一つ一つを丁寧に発してる。 私に会わせたい人はお母さんの彼氏だって事…話し方からしてすぐにわかった。 お母さんが私に彼氏を紹介したいなんて言ったのは今回で二回目。 私を…おもちゃにしてた…あの中年男以来じゃないかな。 中年男とはだいぶ前に別れた筈だから…今度はどんな人だろう。 「もちろん、いいよ。お母さんの大切な人なら、私も会いたい」 「紗耶…ありがとう」 お母さんはほっとしたのか、安堵した表情で私の頭を撫でた。 どうか今度の人は…優しくて、お母さん想いな人だったらいいな。
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