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「紗耶?どうした?」
「…翔ちゃん……っ…」
玄関が開き翔ちゃんの顔を見た途端、泣きそうになりガバッと勢いよく翔ちゃんに抱き着いた。
「どうした?何かあったのか」
「…っ……うぅん…」
今にも零れてしまいそうな涙を必死に堪え、力任せにぎゅっと抱き着くので精一杯だった。
翔ちゃんは玄関のドアを閉めると、私を宥め様と背中をぽんぽん優しく叩いてくれる。
「…何があったか話してみろ」
「…っ……」
「…紗耶」
私はただただ無言で顔を横へと振り続けた。
今声を出してしまったら…泣いてしまいそうだから…。
それに…気付かれてるとはいえ…話したくない…。
翔ちゃんにだけは…知られたくないの…。
「過去の話しをしろって言ってる訳じゃない。今、何があったのか、聞いてるんだ」
翔ちゃんはリビングのソファーへ私を座らせると隣りへ座り真っ直ぐ私を見つめた。
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