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圧倒する景色。開けた景色はテーマパークといった類いのものではなく、地球の千差万別があった。
これは世界だ、景色を咀嚼して風真は改めて理解した。
横目でちらりと美空を見る。自分以上に輝いている瞳。この世界を楽しみたいから、頑張ったのだろうか。
「ほら、行こ!」
横やりから声を入れられ、次いで手を引かれて意識が戻される。
「あぁ……今日は全部回ってやろうぜ!」
【1】
疲れた。言葉に出すことすらためらうほどに、風真の身体は疲労に支配されていた。
ふと空を見上げてみると、もう夕刻の象徴である緋色に染まりつつある。
ベンチは、座る場所は、休める場所は――。
血眼になりながら探し回るも、周りには自分達と同じように一日中遊び呆けて同じように疲労困憊している人ばかり。
必然的に目指すものは同じもの。もちろん比例して、休憩スペースはなくなっていた。
そんな中、風真はようやく空いているベンチを見つけることができた。
「よっしゃ!」
全身の疲れを無視して駆け寄り、ドスンと腰を下ろした。
続いて美空と拓也が座る。三人同時に息を零したのは、必然的な偶然だった。
「疲れたねー……」
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