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「美空の計画が完璧すぎたんだよ。しかも、休憩の時間入れてないし……」
拓也が呆れ顔で言う。それもそうだ、と心の中で風真も同意した。
冗談半分で言った〝全部回る〟と言うあまりにも無謀な願望を、九割叶えてしまったのだから。
残りの一割。
「残るは、アレだけか」
そう言いながら、風真は最後の目的地を見た。
それは、この場所を一望することが出来る観覧車だ。
改めてよく見てみると、他のアトラクションよりも若干質素な造りのように風真の目には映った。
他の遊園地と比べたら遜色ない。けれど、〝世界の映し鏡〟と銘打っているこの遊園地にしては、明らかに場違いな印象を受けた。
少なくとも、一番輝いていない娯楽であることはことは明白。
一言で言うなら――。
「今、頭の中で〝地味だなー〟って思ったでしょ?」と、覗き込みながら放った美空の一言に、風真は虚を突かれた。
「え、なんでわかったんだ?」
「そんな気がしたの。私も、初めて見た時はそんな気がしたし。でもね……」
そこで言葉を中断して、美空はピンク色の手持ちかばんから一枚の紙を取り出した。
「ほら、これ見てよ」
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